今回の施主様たちです。新居への引越しを待っています。

普段は屋根の上での工事のため殆ど目に付きませんが、
今回は最高軒高が850mmの新築工事2棟です。じっくり拝見しましょう。

先ず軒先に唐草という役物(建築用語で やくもの と読み、小部材、部品等を総称してそう呼びます)を取り付けます。

次にケラバ(切り妻屋根の勾配部分端部)に登り唐草を取り付けます。

唐草の収まりです。

隅部の収まりです。

登り棟の部分はこうやって折り返します。

屋根板の割付をしています。職人さんはそれぞれがオリジナルの道具を持っていますが、
これもそのひとつで屋根幅の真ん中から櫨を振り分けてきれいに仕上げるための定規です。

屋根板は予め注文した長さに切って折り曲げたもの(櫨加工)を工場に手配します。
よく見ると櫨(折り曲げの重なり合う部分)の大きさが違っています。
小さなほうがオンで下側に先に葺きます。
そのあと大きなほう(メン)を上から被せて葺いていくわけです。

屋根板の一番上の部分を雨が入らないように折り曲げているところです。
この折方は八千代折といって箱折の基本的なものです。人によってまちまちですが、
平井氏の場合立ち上がり水切りは8分(24mm)とっています。

現在縦葺きの主流の葺き方ともいえる櫨葺きはこうやって上からパタン、パタンと押さえて葺いていきます。
そして先に葺いた右端(オンの櫨)の端部を屋根下地にビス留めしていきます。
この方式が出来るまで(つい最近)は屋根葺き材が熱によって伸縮して
歪みがでたり留付け部分が切れて雨漏りの原因となるのを防ぐため、吊子(つりこ)と呼ばれる同種の金属片を折り曲げたものを介錯して留付けていました。
今でもスパンの長いものや幅広の物を葺く時にはやはり吊子で留めています。

ついでに話しておきますと、
先ほど吊子は同種の金属でと書きましたが、それは異種の金属をくっつけると水分(雨)によってマイナスイオンが発生するためです。
マイナスイオンは即ち金属の表面をプラスイオンを求めて走ることになりこれは微弱ですが、電流そのものなのです。
そしてその異種金属が触れ合う部分では電喰という腐れが発生します。
くどくなりついでに、この電喰は異種金属の接触だけでなくただ単に水が流れるだけでも静電気により発生します。
近年銅版葺きのやねにピンホールがよく開くといった現象は酸性雨だけではなくこの電喰に起因するところが大きいのではと思います。

先ほど説明した八千代折を裏から見たところです。

両端の屋根板は割付寸法に応じて現場でカットします。

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