下地の作成状況です。壁の下地には色々あるのですが、現在では一般にプラスター(石膏)がよく使われます。
プラスターはセメントと同じく水硬性材料で作業性もよいのですが、大きく異なるのは硬化時間の差です
セメントが初期剛性が出るのに何時間、何日単位であるのに対して、
プラスターは何分単位で硬化します。
現場では硬化遅延剤で調整しますが、時間との勝負であることに変わりはありません。
そのため現場では下塗りのあと、水の引き具合を見計らってすぐに中塗り、定規刷り、大直し、へと進めます。

下地の仕上げ風景です。
硬化時間と戦いながら(ドライアウト)滑らかに仕上げて行きます。
後ろに見える作業灯は暗いからだけではなく、
横から光を当てることによって仕上がりを確認しながら作業しているのです。
上塗りの出来はこの作業によって 決まるので重要な作業です。

聚楽壁の練り混ぜ風景です。聚楽壁とは、砂壁の総称として使われていますが、
本来は京都の聚楽第跡地付近で取れる良質な砂壁を指しています。
今回はシコク化成の(砂王)を使ってみました。

塗りつけの様子です。まず黒打ち鏝によって大まかに仕上げます。

細部の仕上げには上裏鏝(あげうらこて)を使います。

水の引き具合を見計らって仕上げの 押さえ に移ります。 
角鏝を使って一気に押さえて(仕上げて)いきます。
写真奥に見えるのは大津通しと呼ばれる鏝で角鏝と同様仕上げに使います。

今回の左官工事で使った鏝です。

床周りだけでこれだけの種類をつかいました。
左から順に説明します(間違っていたら福本さんごめんなさい)
一番左が上裏角鏝(あげうらかくごて)で細部の塗りつけ、伏せこみに使います。
次が元首大津通し(もとくびおおつとおし)で細部の仕上げ用
次が波消鏝(なみけしごて)でその名の通り仕上げのムラを取ります。
真ん中ですが外丸面引き鏝(そとまるめんひきこて)と呼ばれ入り隅の仕上げに使います。
次も用途は同じ面引きですが元首外丸面引き鏝(もとくびそとまるめんひきこて)と呼ばれます。
右から2番目は一番左と同様上裏鏝?......チガウカモ?
右端は黒打ち鏝(くろうちこて)で塗りつけ用です。

(上記の写真の縮小前の画像へ)

上塗りの完了です。今回は砂壁に藁スサ(稲藁を発酵熟成させて繊維を取り出したもので
本来は土壁のツナギとしての役目ですが、現在ではツナギの代わりに科学糊を使っているので今回のスサはあくまで意匠用です。)を混ぜた仕上がりとしました。

(上記の写真の縮小前の画像へ)

時間が経過するとこの様な風合いとなります。

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